推し過ぎた悲劇のラスボスと、同化しちゃった!
 ディミトリと付き合うなんて有り得ないと、きっぱりと言い切った私に、ヒューはますます訳がわからないという顔になった。

「……ふーん。シンシアはリズウィンを恋愛対象ではなく、神のような信仰の対象としているということ?」

「それも、少し違うかも……素晴らしい人だと思うけど。万能な存在だと、神格化している訳ではないわ。彼だって人間だし、間違うこともあると思うもの。けど、もしお金が困っていると言うなら助けてあげたい。そう言う意味では、お金を払うお布施として抵抗はないかな」

「貢ぐのには、抵抗はないのか。けど、もし彼に恋人が出来たら? リズウィンが優秀な学生であることは間違いないし、あれだけの容姿持っているから、シンシアのような物好きな女の子がまた現れるかもしれない。そうしたら、君はどうするつもりなの?」

「え! 応援する! だって、ディミトリには、ずっと幸せでいて欲しいから」

 再び足を動かして歩き出した私に、ヒューはなんとも言えない表情になっていた。

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