推し過ぎた悲劇のラスボスと、同化しちゃった!
 自分のこれからを考えるなら、同級生から奇行と思われるような軽率な行動を自重しろという、ヒューが言いたいことはわかるんだけど。

 けど、私は誰に何を思われようが、別に良かった。

 例え、あのディミトリ・リズウィンが「種族や思想で差別し合うことなく、学問を学び高め合う」という崇高な理念で作られた学術都市ドミニオリアで学ぶ学生だと言うのに……周囲から遠巻きにされてしまう、邪悪な性質を持つと迫害される種族ダークエルフの血が、その身に流れていたとしても。

 私は推しキャラのディミトリをこれからも応援するし、なんなら世界を敵に回してでも、彼を応援する一番の味方で居たい。

「……リズウィン様と誰も喋ったりもしてないし、彼の内面だってほぼ知らないのに、種族というカテゴリだけで安易に彼を判断して、遠巻きにしているだけじゃない。ヒューだって、リズウィン様と直接話したことある? きっと、一度もないでしょ?」

 ヒューは私の主張にふうと息をついて、座席横に備え付けられた肘掛けに頬杖をついた。

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