推し過ぎた悲劇のラスボスと、同化しちゃった!
 いくらディミトリがダークエルフの血を引いていようが、罪をなすりつけるのしたら、それなりの力が必要な訳で。

「あの人。うちの学年の担当なんだけど、今日は最上級学年の魔法薬の授業を任されたらしくて動揺してたよ。大丈夫かな。担当が急遽の休みで自習にしても良いんだけど、最上級生は卒業試験も近いから……あの人が担当する事になったんだ」

 新任のエドケリ先生は、学長の甥。慣れない授業。え。これって……嫌な予感しか、しない。

「嘘っ……それって、いつのことなの? ヒュー」

「? 今日午後からって、聞いたけど……え。シンシア! どうしたの?!」

 私はヒューが話終わるのを待たずに、ドミニオリアの高等学校の校舎への今来た道を走り始めた。

 どんくさい私にしては、割とスピードを出して走れたと思う。

 早く早く。足。早く動いてよ。ディミトリに、克服出来ないトラウマがまたひとつ増えてしまう!

 走ったことで心臓に強い負担がかかったのか胸がぎゅうっと痛み出した私は、走りながら慌てて胸を押さえた。
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