推し過ぎた悲劇のラスボスと、同化しちゃった!
 ため息混じりの彼の言葉に、私は喜びで手を叩きたい気持ちでいっぱいだった。性格が真面目なのに私が誘ったら授業もサボってくれる素敵な推し、なんて尊いの。

「また、占いで何か見えた……?」

 私はここで、なんて言えば良いか迷った。

 良く当たる占いの嘘を素直に信じているディミトリは可愛いけど、そうすると事故が起こることを知らせなければならない。

 けど、もし事故を知らせれば、彼は自己犠牲を選ぶかもしれなくて。

(あんまり……良くないことです)

「……そうか。どこでサボる? 俺は魔法薬の授業が終わったら、もう今日は下校するだけだから」

 ディミトリは私の言っていることの詳細を聞きたそうな素振りを見せたけど、結局は聞かなかった。

 私がそれを話したくないんだろうから、聞かないようにしよう思ってくれたのかもしれない。

(え……? あ。そっか。最上級生って、選択授業がもうなくなるんだ)

 そうだった。彼はもう来年に卒業してしまうから、卒業や就職に必要な授業しかないんだ。

「そうそう。だから、俺は卒業試験でも勉強しようかと思っていた。シンシアも良かったら俺と一緒に勉強する?」
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