推し過ぎた悲劇のラスボスと、同化しちゃった!
前からこちらに向かって歩いて来るのは、小説の完璧ヒーローエルヴィンだった。
エルヴィン・シュレジエンは、ドミニオリア高等学校でも目立つ容姿や能力で特別な存在で知られていたけど、学年が違う私は彼とはあまり会うことはなかった。
というか、同じ学年のディミトリが出る闘技会に彼も出ているんだけど、私の見たい人は一人だけだったので、エルヴィンは目に入らないままだった。
エルヴィンの手には……小さな花束。私はそれで今この時が、小説の開幕シーンであることを知った。
あの小さな花束は性格の良いエルヴィンが困っていた花壇の世話をしていた園芸係を手伝ったことで貰うんだけど、本日転校の手続きにやって来たアドラシアンにあれを渡すことになる。
つまり、大事な主役二人の出会いのシーンとなるのだ。
これから二人は、様々なエピソードを経て仲良くなり……恋仲になるんだけど……つまりそれって、ディミトリが失恋するってことで。
「……あ。あのっ!」
私はエルヴィンとすれ違うその瞬間、どうしても我慢出来なくて彼へと声を掛けてしまった。
エルヴィン・シュレジエンは、ドミニオリア高等学校でも目立つ容姿や能力で特別な存在で知られていたけど、学年が違う私は彼とはあまり会うことはなかった。
というか、同じ学年のディミトリが出る闘技会に彼も出ているんだけど、私の見たい人は一人だけだったので、エルヴィンは目に入らないままだった。
エルヴィンの手には……小さな花束。私はそれで今この時が、小説の開幕シーンであることを知った。
あの小さな花束は性格の良いエルヴィンが困っていた花壇の世話をしていた園芸係を手伝ったことで貰うんだけど、本日転校の手続きにやって来たアドラシアンにあれを渡すことになる。
つまり、大事な主役二人の出会いのシーンとなるのだ。
これから二人は、様々なエピソードを経て仲良くなり……恋仲になるんだけど……つまりそれって、ディミトリが失恋するってことで。
「……あ。あのっ!」
私はエルヴィンとすれ違うその瞬間、どうしても我慢出来なくて彼へと声を掛けてしまった。