推し過ぎた悲劇のラスボスと、同化しちゃった!
16 不可侵条約
私はいつになく放課後の自主戦闘訓練に熱が入っているディミトリを見て、なんとも言えない気持ちが心に湧いてきた。
今日、闘技場で戦闘授業を持っている学生が集まる闘技大会があったんだけど、彼はその決勝戦であのエルヴィンに負けていた。
それって、小説一巻冒頭でも描かれていたシーンで、ディミトリがここでエルヴィンに負けるということは、決まっていたことなんだけど……だからって、彼に納得出来るとそうでもないと思う。
「……シンシア。来てたのか」
ディミトリは剣を数えきれないくらい振って、気が済んで休憩しようと大きく息をついたようだ。長剣を一振りした彼は、私が居るのを見て驚いた表情になっていた。
それほど、負けたことが悔しかったし夢中になっていたのだろう。
「ふふ。闘技大会、お疲れ様です。ディミトリが一番、格好良かったです!」
「……準優勝だけど?」
口端を上げて自嘲するように微笑んだディミトリに、胸が痛くなった。
彼はすでに会ったばかりのアドラシアンに心を奪われていて、同じクラスで親しくなっているはずのヒーローエルヴィンに対抗心を持っているのかもしれない。
今日、闘技場で戦闘授業を持っている学生が集まる闘技大会があったんだけど、彼はその決勝戦であのエルヴィンに負けていた。
それって、小説一巻冒頭でも描かれていたシーンで、ディミトリがここでエルヴィンに負けるということは、決まっていたことなんだけど……だからって、彼に納得出来るとそうでもないと思う。
「……シンシア。来てたのか」
ディミトリは剣を数えきれないくらい振って、気が済んで休憩しようと大きく息をついたようだ。長剣を一振りした彼は、私が居るのを見て驚いた表情になっていた。
それほど、負けたことが悔しかったし夢中になっていたのだろう。
「ふふ。闘技大会、お疲れ様です。ディミトリが一番、格好良かったです!」
「……準優勝だけど?」
口端を上げて自嘲するように微笑んだディミトリに、胸が痛くなった。
彼はすでに会ったばかりのアドラシアンに心を奪われていて、同じクラスで親しくなっているはずのヒーローエルヴィンに対抗心を持っているのかもしれない。