推し過ぎた悲劇のラスボスと、同化しちゃった!
 そうディミトリに問われて、私は答えに困った。

 えっと……そう。ディミトリの存在全てが好きなんだけど、理由は悲しい過去や未来の彼の姿込みになるし、なぜお前がそれを知っているのかと言われたら、とても困る。

「初めての時と違って、顔……だけではないです。けど」

「ごめん……いや、止めよう。この話題は駄目だ。俺も無理にお世辞を言われたいわけでもない」

「待って。無理はしてないです! けど、なんて伝えれば良いか……ディミトリには、これからずっと幸せでいて欲しいと思いますけど、こうした私からの愛に、何も見返りを求めてはいないので大丈夫です」

 どうしようもない悲しい過去ゆえに自己評価が低い推しへ、こんな私は出来る限りの愛を伝えるべきなのかもしれない。

 ディミトリは私の言葉を聞いて、きょとんとした顔をしていた。

「シンシアの愛は、俺の見返りを求めない……?」

「その通りです。けど、シュレジエン先輩と対戦したのって、今日が初めてでもないですよね? もしかしたら、何か……あったんですか?」

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