推し過ぎた悲劇のラスボスと、同化しちゃった!
 ヒューはここで何を言い出すのだろうと、私は目を見開いた。彼だってディミトリの現状を、知っているはずなのに……?

「重要なのは、そこじゃない。そんなリズウィンが、木と感応性が高いということだ。エルフは森に住む種族で、木と通じ合う能力を持っている……そして、君の心臓には、いつの頃からか呪いの植物が巻き付いていた。それに生命力を吸われている段階で、シンシアはやどり木に寄生された木のような状態になっていたんだ」

 今まで不思議に思っていたことをすべて解き明かすようなヒューに、私は両手を上げて彼が話を続けるのを制した。

「え……? ごめんなさい。上手く理解が出来てないんだけど、私は人であるけど木みたいになっていて……エルフの血を引くディミトリに、寄っていっちゃったってこと?」

「君がリズウィンにひどくご執心だったことも、大きな理由だと思う。心臓の痛みの理由さえわかってしまえば、あとは呪いを解くだけだから」

「……ヒューが? 嘘。あ。体が嘘みたいに軽いわ」

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