推し過ぎた悲劇のラスボスと、同化しちゃった!
 ファンは尊い推しには、存在を認識されたくない。そんなものである。

 ディミトリが毎日幸せで、辛いことなど何もなく楽しく過ごして欲しいけど、私のような小さな存在が彼の時間を奪ってしまうなんて……罪悪感で大好きなお菓子だって、喉を通らなくなるかもしれない。

 何故かというと、ディミトリ・リズウィンは前世に私の心を完全にとりこにしてくれて、ほぼ病室で一日を過ごすという辛かった毎日に潤いを与えてくれた、とても素敵な推しだから。

 ただ生まれて来てくれて、今まで生きてきてくれたことだけで、私としては感謝して満足なのだ。

 ディミトリの亡くなってしまっているご両親にも、感謝を捧げたい。あんなにも尊き存在を、生み出してくれて本当にありがとうって。

 私はディミトリには、世界で一番に幸せで居て欲しいと願ってる。それは私以外の誰にも、理解されない感情なのかもしれないけど。

 誰かに理解されたい訳でもない。

「シンシアはリズウィンの外見が良いというだけで、彼を全肯定するの?」

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