推し過ぎた悲劇のラスボスと、同化しちゃった!
「ああ……嘘でしょう。ディミトリにそんなこと……! 最低だわ。彼自身は、何もしていないのよ!」

 思わず病院着のままディミトリになんてことを言ってくれたんだと両親に抗議に行こうとした私に、ヒューはとにかく落ち着くように言った。

「どうか落ち着いて。シンシア。君がここで怒って騒いでも、彼の立場が悪くなるだけだ。とにかく君は、さっき死にかけたのは間違いないんだから。リズウィンには、手紙を書くんだ。君がここを抜け出しても、彼がここに来ても……リズウィンには、良いことがない」

「そんな……」

 私はベッドの上に座り込んで、項垂れた。

 自分で稼いでる訳でもない学生の身でここで強硬に両親に逆らえば、ドミニオリアに居れなくなるかもしれないと忠告されれば、もうヒューの言うことを聞くしかない。

 だって、ドミニオリアを出てディミトリに会えなくなるなんて、絶対に嫌だ。

 私は退院するまでの二週間、何通かディミトリへの手紙を書いて、ヒューに渡してもらったんだけど……彼からの返事を貰うことは出来なかった。
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