推し過ぎた悲劇のラスボスと、同化しちゃった!

18 聖女

 やっと病院に閉じ込められていた二週間を過ぎ、退院出来て授業が終わった放課後。

 私はディミトリに会うために、彼が訓練している場所まで急いでいた。

 教室を出る前に見たヒューの表情は、複雑そうだった。私が何処に行くか、わかっていたからだろう。

 推しキャラディミトリが居たからこの世界に転生して来たまであるのに、このままでなんて、彼との関係を終わらせられる訳がない。

 けど、なんて謝罪すれば良い?

 ディミトリに言いたいことは、何度も何度も手紙に書いていた。両親の意向は私にもどうしようもない。だって、私たちは血の繋がった親子だけど、別々の人間なんだから。意見が違ってしまうことだって、あるだろう。

 私がディミトリと親しくなったからと、そのことで彼を傷つけることになってしまうなんて……私は本当に思ってもいなかった。

 ディミトリは、真面目で誠実な人だから……だからこそ、悲劇のラスボスと言われるようになってしまうんだから。私の気持ちを包み隠さずにちゃんと話せば、わかってくれるはず。

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