育児に奮闘していたら、イケメン整形外科医とのとろあま生活が始まりました
「俺……2年間、そのドクターのもとで学ばせてもらおうと思っている」


ーーまさか。
そんな話だとは思わなかった。

急な話の展開に、脳内の整理がつかない。

それはつまり、晃洋さんがアメリカへ渡ってしまうということで合ってる?


「急で本当にごめん。でも、俺の夢がひとつ叶いそうなんだ」

「夢……」

「俺もまさかそのドクターに高評価されるなんて思っていなくて」


晃洋さんが一生懸命書いた論文が高評価されたのは嬉しい。その気持ちに嘘はない。

けれど……まさかそれでアメリカに渡ってしまうことになるなんて。
私たちは、どうすればいいの?


「……いつ、ですか?」

「来年の3月中には行こうと思う」

「来年……」


来年の3月というと、あと4ヶ月後。
せっかく妃織も晃洋さんとの生活に慣れてきたのに、もしかしてこれでおしまい?

今まで築き上げてきたものがすべて、壊れようとしている?


「美優……それでさ、この先のことなんだけど」

「もう、終わりで……ってことですか?」


震える声で、晃洋さんに質問を投げかけた。
この質問の答えなんて聞きたくないけれど、聞かなければ前には進めない。

どんな風に言われてしまうのかが怖くて、俯いたまま顔の前で両手をぎゅっと握りしめた。
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