育児に奮闘していたら、イケメン整形外科医とのとろあま生活が始まりました

「美優、それは違う。俺は必ずここに帰ってくる。だから、妃織ちゃんとここで待ってて」

「え……ここで？」


思ってもみなかった答えに驚いて、勢いよく顔を上げた。
そこには真剣な眼差しで私を見つめている晃洋さんがいて、とても嘘を言っているようには思えない。

晃洋さんはそっと私の手を握ると、さらに続けた。


「本当は、美優と妃織ちゃんにも来てもらおうかと思っていた。でも、慣れない環境で妃織ちゃんを育てるのは難しいだろうし、美優に仕事を辞めろというのも間違っているような気がして」


そんな風に、考えていてくれたんだ。

私自身、アメリカに渡ることはなんとも思っていない。
けれど、妃織はどうだろう。
せっかく保育園にも慣れてきて、仲良くしている友達もできたと嬉しそうに話してくれていた。それなのに、慣れない環境へ引っ越しして、またイチから友達を作って……なんてことは、子どもにとっては酷な話だ。

だからこそ別れを切り出されると思っていたのにそうではなくて、晃洋さんは『妃織と一緒にここで待っていて欲しい』と言ってくれた。

私と妃織のことをしっかりと考えていてくれている晃洋さんは、優しい。
いや……もう、優しいという言葉だけでは言い表すことができないくらいだ。