育児に奮闘していたら、イケメン整形外科医とのとろあま生活が始まりました
初めて聞く妃織ちゃんの本音に、俺も美優も食べていた手を止めて妃織ちゃんに向き合った。


「おともだちにはね、みんなパパがいるのに。ひおはママだけ」

「妃織……」


そうか。そりゃそう思って当然だよな。
今まで実家にいて外部事情を知らなかった妃織ちゃん。保育園に通うようになり、自分の家庭環境に違和感を持ち始めてもおかしくはない。

けれど、俺が妃織ちゃんのパパではないことをちゃんとわかっていて、ずっと「先生」と呼んでいた。そしてお互いの好きだという気持ちを確認し、こうして「パパになって欲しい」と自分の気持ちを伝えてくれたのだ。

きっと、勇気がいっただろうに。お友達を作るよりも、何倍もの勇気が。


「妃織ちゃん? 妃織ちゃんのパパが、先生でもいいかな?」

「うん! ひお、せんせいがいい!」


そう言いながら、俺に飛びついて来る妃織ちゃんをしっかりと抱きとめる。
あぁ、俺、今泣きそう。

ふと美優の方へと目線を移すと、美優は口に手を当てて薄っすらと涙を浮かべていた。


「パパってよんでもいいの?」

「もちろん。妃織ちゃんだけのパパだよ」

「パパ! だいすき!!」


まさか、アメリカへ発つ前にこんなに幸せなことが起きるなんて思ってもいなかった。
それも、妃織ちゃんの方から寄り添ってくれるなんて、夢みたいだ。
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