育児に奮闘していたら、イケメン整形外科医とのとろあま生活が始まりました
「私……晃洋さん以外の人なんて好きになりません」

「俺も、美優以外はいらない」


何度も愛撫を繰り返された私の身体はもう充分すぎるくらい熱を帯びている。晃洋さんにぎゅっとしがみついたのを合図に、私たちの身体はひとつになる。

あぁ……。もう、しばらくこんな風に身体を合わすこともできないんだ。
触れたくても、すぐに触れることができなくなるんだ。

そんなことを考えながら「晃洋さん」と私が名前を呼んだとき、肩の辺りにヒヤリとした冷たい感覚が一瞬だけ走った。


ーー……涙?
晃洋さん……もしかして。


「……っ、ごめん」


初めて見た、晃洋さんの涙。
ぎゅーっと胸が締め付けられて、私はさらに晃洋さんのことを強く抱きしめた。


「なにがあっても、離れませんから」

「美優……待ってて。ここで、待っててな……」

「はい。妃織と……待ってます」


釣られて私の瞳からも涙がこぼれ落ちてしまう。それでも、晃洋さんは私を抱くことを止めたりしなかった。
きっと、これが最後だとわかっていたから。

そしてその夜は、今まで以上に激しく求め合ったーー。


* * *

「忘れ物、ないですか?」

「あぁ。ある程度は、向こうに送ってあるから」
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