育児に奮闘していたら、イケメン整形外科医とのとろあま生活が始まりました
けれど、手術を無事に終えた妃織の顔を見て、ホッと胸を撫でおろした。


「あと1時間もすれば麻酔が切れて目を覚ますと思います。それまで、お母さんも病室で休まれてください」


私の顔を見ながら、山内先生がそう言ってくれる。きっと、私のことを思ってだろう。
だって、このたった2時間という短い時間で一気に老けたような気がするから。


「山内先生、本当にありがとうございました」


深々と頭を下げて、お礼を伝える。
病棟看護師にストレッチャーが引き継がれ、山内先生と一緒に病室へと向かった。

看護師さんたちの手によって妃織の身体はベッドに移され、ベッドの横にある椅子に腰かける。妃織の手を握ると体温が伝わり、涙が溢れそうになる。

無事で、本当によかった。

「追加の補液剤持ってきます」と看護師さんは病室を出て行ってしまい、病室には山内先生と私、妃織の3人だけになる。


「お疲れ様でした。しばらくは、ゆっくり休むといい」

「はい。そうさせていただきます」

「それから……」


そこまで言いかけた山内先生は、手術着のポケットから小さな紙を取り出して私に手渡す。それを受け取って中身を確認して「えっ」と思わず声を出して驚いてしまった。

そこに書かれていたのは、山内先生のスマホの番号。
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