育児に奮闘していたら、イケメン整形外科医とのとろあま生活が始まりました

何年振りかの一目惚れーside.晃洋ー

ここ数年、恋愛というものを忘れかけていた。
というのも、整形外科医としての腕をもっと上達させたかったから。


自分の幼少期、父親が骨折したことがあった。
当時、この宇田総合病院の現医院長が外来担当をしており、父親の主治医だった。『神の腕を持つ宇田先生』と言われるほど宇田先生の治療法は素晴らしく、他県からの手術依頼も多かったという。

そんな宇田先生ーー院長に憧れの心を抱くのにそう時間は掛からず、得意でもない勉強に励み、整形外科医を目指した。
色々な症例をこなしていくうちに、いつの間にやら『山内先生はすごい』と巷で噂になっていたようで、俺を目的で紹介受診をする患者も増えてきたように思う。

でも、今はまだまだ精進したくて、恋愛になど興味はなかった。



『山内先生、救急車受け入れOKですか?』


熱い夏の昼前、俺のPHSが鳴った。
相手は救急外来担当のナースで、救急搬送依頼の電話だった。さらに詳しく話を聞くと、交通事故だと言う。

2歳女児。右大腿骨部の疼痛を訴え、歩行困難。25歳の母親の付き添いありだが、母親も左膝に挫創があるとのことだ。


『いいよ。とりあえず受け入れて。頭部を打っていたりした場合は、脳外科のドクターにコンサルト予定で』

『わかりました。では、そのように』
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