育児に奮闘していたら、イケメン整形外科医とのとろあま生活が始まりました
「すごい集中してる」とほほ笑みながら妃織の頭を優しく撫でると、山内先生は病室を出て行ってしまった。
看護師さんたちもギプスカットの後片付けを終えると、「それじゃぁ、またリハビリのときに」と言いながら部屋を出て行く。

やっと終わった……。ギプスカットなんて初めての経験だったけれど、工事現場みたいなんだ。
幼い妃織はきっと、私以上に怖い思いをしたよね。

その怖さを乗り越えた妃織に成長を感じて、「頑張ったね」と、絵本に集中したままの妃織をぎゅっと抱きしめた。



それから妃織のリハビリも順調で、あっと言う間に退院の日が近付いてきた。
たぶん、リハビリが順調……というより、若さの問題ではないかと思ってしまうくらい、妃織は自分の左足で上手く歩けるようになっていた。

気が付けばもう、入院生活も43日。
手術をしないといけないと聞いたときはどうなることかと思ったけれど、なんとか無事に退院できそうでよかった。

問題は……。


「美優さんの傷も、だいぶよくなった」


妃織がリハビリの最中に処置を済ませてしまおうと、リハビリテーション科のすぐ横にある整形外科の処置室に呼ばれた私。


「山内先生の丁寧な処置のおかげです」

「いや。逃げずにちゃんと真面目に処置を続けたからかな」
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