育児に奮闘していたら、イケメン整形外科医とのとろあま生活が始まりました
あれこれ考えているうちに休憩時間があと残り10程度だということに気が付いて、慌てて席を立った。


「あ、あの……また後日連絡します! なので、少し待っていただけませんか?」

「それは嬉しいな。いい返事が聞けることを期待してる」


そう言った山内先生は参考書とパソコンを黒のビジネスバッグに片付けた。
伝票を手に取って、空いている方の手でポンポンと私の頭に優しく触れると「それじゃあ、また」と言いながら爽やかに去って行く。

……なんなの。なんでこんなにドキドキしているんだ私。
それに、去り際に山内先生は『また』と言ってくれた。それってまるで、次に会うことが約束されているみたいじゃない。

そんな風に言ってくれたことが嬉しくて。
赤くなった顔を隠しながら、私は仕事に戻った。


そしてその日の夜のこと。
妃織が大好物の煮込みハンバーグを食べ終え、一緒にお風呂に入っていると、妃織の右の太ももが赤く腫れていることに気が付いた。

バスタオルで拭いてから触れてみると、微かに熱っぽい。
手術をした傷跡が残っている部分で、なんとなく怖くなってしまう。


「お母さん。妃織のここ赤いんだけど、いつからかわかる?」

「えー? あら、本当ね。今日公園に出かけたときは普通だったと思ったけど」
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