育児に奮闘していたら、イケメン整形外科医とのとろあま生活が始まりました
私が帰宅したときは元気そうにしていたのに、いったいなにがあったのだろうか。
なにか、大きな病気なのかな……。

不安で胸が押しつぶされそうになりながらも、なんとか病院へ到着。ぐったりとしたままの妃織を抱きかかえて救急外来で受付を済ませると、診察室から山内先生が出てきてくれた。

その姿にホッとして、涙が溢れ出す。


「山内先生……! ごめ……ごめんな、さい。急に……」

「美優は謝らなくていい。ちょうど当直だったから気にするな」


少し強めの口調でそう言った山内先生は妃織を抱きかかえてくれ、処置室へと運ぶ。
放心状態の私をよそに、すぐに「採血」と近くの看護師さんに指示を出し、右の太ももをクーリングしてくれた。


「採血の結果が出るまで、少し待って。美優、大丈夫?」

「え……は、はい。大丈夫……です」

「多分、蜂窩織炎(ほうかしきえん)だと思う。昨日、なにか汚い場所で遊んだとかしなかった?」

「公園に……行った、とは言っていましたけど」


昨日、母と公園に行くとは聞いていたけれど、なにをして遊んだのかはわからない。
妃織とお風呂に入っていた時の会話を思い出してみても、頭の中がこんがらがって記憶を引っ張り出してくることができない。
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