育児に奮闘していたら、イケメン整形外科医とのとろあま生活が始まりました
「あ……あしの、まほうのせんいせいだ」

「あははっ、そうそう。足の魔法ね。よく覚えてる」

「まほうがなくなったから、あしいたい?」


妃織の発言に、思わず吹き出しそうになってしまった。でも、そんなことを言えるくらいだから大丈夫だと思う。
リハビリ通院にも訪れていたためなのか、山内先生のことはちゃんと記憶しているようだった。

山内先生はにこにこしたまま、「違うよ。魔法はなくなっていない」と言いながら妃織の傍から離れないでいてくれている。


「すぐに痛くなくなるから大丈夫。治ったら、先生とお出かけしようか」

「えっ! ほんとう? ひお、すいぞくかんいきたい!」

「え、ちょ……妃織!」


まさかの提案に、私は慌てて2人の会話に割り込んだ。いくらなんでも、そこまでしていただく必要はない。


「美優、俺がそうしたいからいいんだ。気にしないで」

「でも……」

「妃織ちゃん、もうその気だぞ」


チラリと横目で妃織を見ると「イルカさんみれるよ~」と、ウキウキしながらうさぎのぬいぐるみに話しかけている。

困ったな……。今から断ったら、妃織はきっと駄々をこねる。
少し強引ではないかと思ってしまったけれど、ここまできたらもう引き下がれない。
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