育児に奮闘していたら、イケメン整形外科医とのとろあま生活が始まりました
2人との時間をめいっぱい楽しみたくて、今日は俺も完全にオフにしてもらっている。休みなのに病院に出向く必要もなければ、救外からのオンコールもない。

どうしても今日2人との時間を作りたくて、脳外科医の西出先生に当番を変わってもらったというのは内緒だけれど。


「美優、なにか飲む?」

「え、大丈夫です。山内先生がなにか飲みたいのなら……」

「俺は美優に聞いてる」


少しきつめの口調でそう言うと、美優は申し訳なさそうに「じゃあ、コーヒーを」と言ってくれた。

しまった。そんなつもりじゃなかったのに。
美優が俺に対してあまりにも遠慮ばかりするから、少し強めに言ってしまった……。

でも、今日くらいは羽を伸ばして欲しい。遠慮なんていらない。
どうすれば、それが伝わる?


「美優、ごめん。少し言い過ぎた」


ルームミラー越しに謝罪をすると、窓の外を眺めていた美優は俺の方を見てくれた。ミラー越しに目が合った美優は、やっぱりまだ表情が固いような気がしてならない。


「私……どの距離感で山内先生と接したらいいのか、まだわからなくて」


美優が正直にそう言ってくれたと同時にコンビニが目に留まり、俺は滑るように車を駐車させた。
シードベルトを外して後部座席にいる美優のことを見ると、彼女の瞳はなぜか潤んでいる。
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