育児に奮闘していたら、イケメン整形外科医とのとろあま生活が始まりました
「妃織!? どこが痛いの? ママに教えて!?」


震えながら妃織に話しかけると、ゆっくりと右の大腿部を指差した。転倒したからなのか、擦り傷ができてしまっている。

外観では擦り傷しか見えず、これくらいの傷で済んでよかったと妃織を抱き上げたとき。


「ママ!! いたい! ひお、あし(足)いたい!!」


突然耳元で泣き叫びながら訴えている妃織の表情は、今までに見たことがないくらいに痛がっている。どうしようかとあたふたしていると「救急車呼びますか?」と、先ほど買い物をしたコンビニの店員さんが心配そうに話しかけてくれた。

火が付いたように泣きじゃくる妃織。
もしかして、擦り傷以外にもどこかケガをしているのかも……。


「救急車……お願いします」


今思えば、不安でいっぱいだったのかもしれない。
怖くて不安で、どうしたらいいのかわからなくて、誰かの助けが欲しかったのかもしれない。

けれど、救急車を呼んだ判断は間違っていなかった。


「右の大腿骨が骨折しています」


搬送先の病院ーー宇田総合病院の整形外科医、山内 晃洋(あきひろ)先生は、ついさっき撮影したレントゲン写真を指差しながら、私たちにもわかるように説明してくれた。

妃織の細い右大腿部の骨は、素人が見てもわかるくらい、真ん中でポッキリと折れてしまっている。
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