育児に奮闘していたら、イケメン整形外科医とのとろあま生活が始まりました
あれ……? もしかして今、キスされた?
よくわからないまま唇が離れたけれど、晃洋さんはとても嬉しそうにしている。


「美優、あの日のこと、覚えてる?」

「え、あの日のこと……」


それは多分、晃洋さんが『美優が好き』と言ってくれた日のこと。いきなりの告白で頭がついていかなくて、返事を保留にしていたのだ。

でも、さすがにこのまま保留にしておくわけにはいかない。


「私……怖い」

「怖い? 俺が怖いってこと?」


違う。そうじゃない。
晃洋さんのことが怖いわけじゃないの。

妃織を妊娠したと告げたあの日のことは、今でも鮮明に覚えている。
梅雨でジメジメとした空気の中で言われた一言は、降り注ぐ雨よりも冷たかったことも。

あれから2年以上の月日が流れ、忘れていくものだと思っていた。

それなのに……男性との関りを持つ度に思い出されるあの日のことは、2年の月日が流れた今も、頭の片隅にしっかりと記憶されていたのだ。


「私……男性が…怖い……」


やっとの思い出絞り出した声は、今までで1番情けない。
それでも、晃洋さんには私の気持ちを知っていて欲しくて、今の思いをすべて吐き出した。

話を聞いた晃洋さんは、なにも言わずにぎゅっと私のことを抱きしめてくれる。
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