育児に奮闘していたら、イケメン整形外科医とのとろあま生活が始まりました
「辛かったな」


その言葉に、一気に涙腺が崩壊してしまった。
とめどなく溢れてくる涙は止めることができなくて、晃洋さんのTシャツを濡らしていく。

もしかしたら私は、一生消えることのない傷を負ってしまったのかもしれない。
目に見えないけれど心の奥底には深い傷がついていて、どうやっても塞がることはない。


「美優、俺は……」


話が途中で中断されてしまい不思議に思った私は、晃洋さんの顔を見た。

私を抱きしめていない方の手で目頭を押さえながら、必死になにかを伝えようとしてくれている。
もしかして……泣いてる?

私なんかのために、どうして?


「俺は……美優を、支えたい。過去のことも、全部」

「でも……」

「ゆっくりでいい。俺に、妃織ちゃんの父親をやらせてくれないか?」


真剣な眼差しで一生懸命に伝えてくれたその言葉に、決して嘘はないように思える。

私……信じていいのかな。
もう一度、男性を信じてみてもいいのかな。


「あの……私、信じてみたい……。晃洋さんなら、大丈夫って。そう思えます」

「美優……」


少し前から、なんとなく自分の気持ちに気が付いていた。

妃織の右太ももが腫れたとき、まっさきに晃洋さんに連絡をしていた。それは、彼を信頼していたから。
『晃洋さんなら、大丈夫』って。
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