育児に奮闘していたら、イケメン整形外科医とのとろあま生活が始まりました
そして、引っ越し当日の今日ーー。
妃織は、入園予定の保育園にすでに預けている。


「晃洋さん、準備できてます?」

「あぁ、大丈夫。俺、今この前した難しいオペのときより緊張してる」

「大丈夫ですよ。私の親、そんなに怒ったりしないですから」


前日にある程度の荷物を運び終え、引っ越し当日の今日は私の両親へあいさつに行くことになっていた。
仕事が忙しすぎるため、結局引っ越し当日までに両親に会うことができなかった。

別にまだ結婚とかの話ではないのに昨日から緊張している晃洋さんの表情は、いつもより固いような気がする。


「晃洋さんが緊張すると、私まで緊張しちゃう」

「え、あぁ……すまない」


身支度を整えて車に乗り込むと、私の実家へと向かった。

「必要ない」と言ったのに、途中で手土産のバウムクーヘンを購入してくれた晃洋さん。それから10分ほど車を走らせ実家に到着すると、母がすでに家の外で待っていてくれた。

車をおりてすぐ、母のもとへ駆け寄る。


「お母さん、家の中にいてくれたらよかったのに」

「いいのよ! 美優が彼氏を連れて来るって言うもんだから楽しみで」


母とそんな会話を交わしていると、車を駐車させた晃洋さんがこちらへと歩いて来るのが見えた。
手には、先ほど購入したバウムクーヘンの紙袋をぶらさげている。
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