育児に奮闘していたら、イケメン整形外科医とのとろあま生活が始まりました
椅子に座って妃織の話題を振り返っていると、母が先ほどのバウムクーヘンを切り分けて紅茶とともにテーブルに置いてくれた。
とりあえず、和やかムードで進みそうで一安心。


「そうかい。美優と妃織のこと、大切にしてくれているんだね……」

「はい。今まで出会ったどの女性よりも、美優さんは素敵な女性です」


父が言ったことに対して返事をした晃洋さんの言葉に、私の心臓がドキドキと大きく音を立て始める。
両親の前でそんな風に言われると、さずがに恥ずかしい。


「美優はね……過去に辛い思いをしている。だから、しばらく実家に住まわせていたんだよ。孫の妃織のことも、全部私たちで面倒を見ていくと……」

「はい。過去の件に関しては、美優さんが包み隠さず話してくれました。だからこそ、2人を守りたいと」


父のことを真っ直ぐに見つめてそう言ってくれた晃洋さん。
その言葉一つひとつに嘘がないことが感じられて、胸が熱くなる。


「美優の過去のこともすべて受け入れて、一緒に過ごしていこうと決めました」

「……そうかい。2人のことは、君に託すよ」

「もちろんです。必ず守ります」


晃洋さんの熱い思いが伝わったのか、母はハンカチで目頭を押さえている。
父も涙を隠すようにお茶を喉へと流し込んで、バウムクーヘンにフォークを刺した。
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