育児に奮闘していたら、イケメン整形外科医とのとろあま生活が始まりました
静かに寝室を出て玄関に向かうと、晃洋さんが首に掛けたマフラーを外しているところだった。


「おかえりなさい」

「美優、ただいま」


同時に唇に落とされた優しいキスは、もう毎日の日課だ。
同棲が始まってから今日まで1日も欠かさずに触れ合う唇は、一瞬で私のことを幸せな気持にさせてくれる。

結婚していないけれど、優しく触れてもらえるだけで幸せになれるのだ。
結婚したらどうなるのだろう……と、妄想ばかりが先走る。


「妃織は眠ってる?」

「はい。ついさっきまで起きてたんですけど」

「そう……残念だ。寂しがっていない?」

「ふふっ。『先生と遊びたい』って、今日は口を尖らせてましたよ」


ため息交じりに「あぁ、残念」と言いながら、寝室へ向かっていく晃洋さん。妃織の頭を優しく撫でてから、リビングへと戻って来る。


「食事、温めますね」

「いつもありがとう。今日のメニューはなに?」

「肉じゃがと鮭の塩焼きにしてみました」

「お、美味しそう。早く食べたい」


すぐに魚を焼いて、嬉しそうに椅子に座った晃洋さんの前に食事を出した。
「いただきます」と丁寧に手を合わせて、食事を食べ始める。

「美味い!」と言いながら肉じゃがを食べ進めていたけれど、そうとうお腹が空いていたのか、あっという間に器が空っぽになってしまった。
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