束の間を超えて ~片想いする同僚兼友人に、片想いをした~ 【番外編追加済】
第一章 束の間の恋人

1. 叶わぬ恋

 昼食から戻り、PCのスリープモードを解除すれば、チャットツールに未読のアイコンがついている。ツール画面を開いてみれば、そこには一件のDM(ダイレクトメッセージ)が送られていた。

 彩子はそのメッセージを確認するとその顔に小さく笑みを浮かべ、そして少しだけ切なげにその眉根を寄せた。


 それは同期――あの男からの飲みの誘いだった。

(ずるいなー、この男は。私が断れるはずもないのに)


 『いいよ』と送り返せば、笑顔のスタンプが返ってくる。どうせいつもの店だろうとそれ以上はやりとりせず、彩子は業務へと意識を切りかえた。



―――

 それがすべての始まりだった。


 切なく苦しい想いも、狂おしいほどの愛しさも、すべてはここから始まった。


 彩子と彼の運命は、このときから大きく変わっていったのだ
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