束の間を超えて ~片想いする同僚兼友人に、片想いをした~ 【番外編追加済】
「ご飯もうすぐできるから、手洗っておいでよ」
「うん、ありがとう。洗ってくる」

 洋輔が洗面所に行くのを確認し、彩子は最後の仕上げにかかった。下準備をした豚肉を焼き上げ、副菜と合わせて皿に盛りつける。その間に手洗いを済ませた洋輔がご飯を茶碗へよそってくれた。

「すごい、豚の生姜焼きじゃん!」
「うん。洋輔好きでしょ?」
「うん、好き。ありがとう、彩子。もう本当に幸せ」
「ふふ。まあこんなにいい彼女がいれば、そりゃあ幸せだよねー」
「うん。本当にその通りだよ。彩子が素敵すぎてもうずっと幸せ」

 彩子は一生洋輔には勝てないんじゃないかと思う。

「冗談で言ったのに素で返さないでよ……恥ずかしいじゃん……」
「ははっ。彩子かわいい」
「もうっ! 言っとくけど私より何倍も洋輔のほうが素敵だからね。そこんとこ自覚して!」
「えぇ? そんなことないのに。まあこれ以上言うと拗ねちゃうからやめとこうかな。じゃあ、いただきます!」


 恋人になってからの洋輔はなんだか少しいじわるだ。彩子をからかうのが楽しいらしい。

 そんな洋輔に彩子は心臓がいくらあっても足りないからやめてくれと思うが、心から楽しむ洋輔の姿を見れば大きく安堵もするのだ。

 ずっとこういう日々が続けばいいと彩子は思った。
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