束の間を超えて ~片想いする同僚兼友人に、片想いをした~ 【番外編追加済】
 そこからはもう言葉はいらなかった。

 洋輔はタガが外れたように彩子に強く触れてきた。

 苦しい、痛い、つらいと叫ぶように、洋輔は口にできないその感情を彩子にぶつけてきた。

 これまでの優しく丁寧な抱き方がまるで嘘のように、それはひどく手荒なものだった。


 洋輔のその悲痛な叫びに彩子の心も強く痛んだが、もとより覚悟の上だ。

 彩子はただただ黙ってすべてを受け入れた。


 どのくらいその行為に耽っていたのだろう。

 日付が変わる前にベッドに入ったはずなのに、気づけばすっかり真夜中になっていた。

 彩子はほとんど意識を失うようにして眠りについた。
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