束の間を超えて ~片想いする同僚兼友人に、片想いをした~ 【番外編追加済】
 翌朝、彩子は近くで人の動く気配に目を覚ました。

「……んー、おはよう」

 重い瞼を開けてみれば、洋輔が起き上がってベッドに座っている姿が目に入ってくる。ぼやける視界をなんとかしようと彩子は何度か瞬きをしてから今の状況を確認した。


 なかなかにひどいありさまだった。

 二人とも素っ裸で布団もかけずにベッドの上にいる。自分の身体を見てみれば、赤い跡が点々と残っていた。

 こんな真冬に裸で風邪をひいてしまうと思ったが、そういえば部屋の中が暖かい。暖房がついているようだ。

 彩子はつけた記憶がないから洋輔がつけたのだろう。あんなに冷静さを欠いていたのによくできたものだと感心する。彩子がいつも寒がるから、無意識でつけたのだろうか。


 そんなことを考えたあとに洋輔に目を向ければ、彼はひどくショックを受けた表情で呆然としていた。

 きっと昨晩のことを後悔しているのだろう。

 だがそれも織り込み済みで彩子は抱かれたのだ。こうなることは予想できていた。

 洋輔は今、彩子を傷つけてしまったと思っているに違いない。

 だったらそんな事実はないと気づかせてやればいいのだ。
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