束の間を超えて ~片想いする同僚兼友人に、片想いをした~ 【番外編追加済】
「これ開けてもいい?」
「どうぞ」
「お、チョコレートタルトだ。これ作ってくれたの?」
「うん。まあ普通のチョコタルトだけど」
「すごくおいしそうだよ。しかもタルトなんて手の込んだもの、ありがとう。本当に嬉しい」

 本当に喜んでくれているようだ。やはり今日持ってきてよかった。

「いいえー。どうぞ召し上がってください」
「うん。じゃあ、コーヒーと一緒にもらおうかな。彩子もコーヒー飲む?」
「ううん、眠れなくなると困るし、やめとく」
「明日に備えて?」
「うん。明日楽しみにしてるから」
「ははっ、頑張ります」

 洋輔はコーヒーを入れると、カップを二つ持って戻ってきた。

「はい。彩子にはお茶」
「え、ありがとう」
「ううん。じゃあ、いただきます」

 味見はしているし、レシピ通りに作っているから問題はないはずだが、期待に満ちた顔で食されると緊張してしまう。

 彩子は固唾を飲んで洋輔が食べるのを見守った。

「うん! おいしいこれ!」
「よかった。洋輔は何でもおいしいって言ってくれるから嬉しい」
「まあ本当においしいからね」

 洋輔の口にあったようで彩子はほっとした。

 何でもおいしいと言ってくれるのも本当だ。何を作ったって喜んでくれるから作り甲斐があるのだ。
< 127 / 273 >

この作品をシェア

pagetop