束の間を超えて ～片想いする同僚兼友人に、片想いをした～ 【番外編追加済】

5. 疑惑は確信へ

　その翌日、彩子は同期の坂本恵美(さかもとえみ)を食事に誘った。

　彼女は人事部にいる。小谷について探りを入れるつもりだった。

　恵美とは親友と呼べる仲だから、訊けばいろいろと教えてくれるだろう。



　二人仲よく会社を出て店へ向かう。そして、目的の店につけば事前に予約しておいた個室に案内された。ここでなら周りを気にせず話を聞けるだろう。


　彩子は恵美にそれとなく小谷のことを訊くつもりだった。彩子の気持ちを恵美は知らないから、変に勘繰られたくはなかった。

　もちろん彩子と洋輔の仲がいいことは恵美も知っている。だがよき友人関係としか思っていないはずだ。

　初めのうちはその仲のよさに、本当は好きなのではないかと疑われることもあった。しかし当時は本当に友人としか思っていなかったから、恋愛感情はないとはっきり言っていたのだ。今は二人の関係を疑ってなどいないはずだ。