束の間を超えて ~片想いする同僚兼友人に、片想いをした~ 【番外編追加済】
「ならよかった……でも」
「でも?」
「今日はまだ終わりじゃないよ?」
「うん?」
「最後は、彩子をこれ以上ないほど蕩けさせたい」

 洋輔から熱い視線が送られてくる。

「俺に身を任せて?」
「っ……」
「彩子ここ座って?」

 洋輔は自分の太腿を手で叩いた。そこに座れということらしい。

「座るって、どう……」
「跨って」

 彩子は洋輔を跨いでその上に座った。だがその格好は密着度が高すぎて落ち着かない。

 彩子は洋輔の肩に手を置き、身体をそらした。

「これ恥ずかしい……」
「腕は首に回して?」

 洋輔の首に腕を回せば、必然的に距離が近くなる。

「ん。彩子」

 ちゅっちゅっと音を立てながら何度も口づけられる。それは唇だけでなくて、時折額や鼻や瞼や頬に落ちてきた。

 しばらくそうしてキスしていたかと思えば、彩子のことを嬉しそうに見つめて髪や耳や頬を指先で撫でてくる。

 それに満足すればまた口づけが始まり、それがずっと繰り返される。


 どのくらいそうしていたのだろうか。彩子はすっかり力が抜けて、ほとんど洋輔にもたれかかるようにしていた。

「彩子。そろそろベッド行こうか。ちょっとごめんね」

 洋輔は彩子を膝からどかして立ち上がると、彩子を横抱きにしてベッドまで運んだ。


 ベッドに横たえるとまた甘い口づけが再開された。

 両手は指を絡めるようにして握られている。

 彩子も洋輔から与えられるそれに夢中になって応えた。


 そしていつの間にやらすべての衣服ははぎ取られ、全身にキスの雨が降ってきた。

 彩子はその身体を余すところなく愛でられ、もう右も左もわからないくらいに蕩けきっていた。
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