束の間を超えて ~片想いする同僚兼友人に、片想いをした~ 【番外編追加済】

4. 心の限界

 洋輔の帰国までとうとう残り一ヶ月。

 二月の半ばは冷え込みが強く、彩子は睡眠不足も相まってひどく体調を崩してしまった。

「彩子、ちゃんとご飯食べてる?」

 会社を休んだ彩子を心配して恵美が様子を見にきてくれた。彩子の調子が悪いのをずっと気にしていたから、一も二もなく駆けつけてくれた。

「うん、一応食べてる」
「ずっと体調悪そうだよね? 病院は行ったの?」
「うん。行ったよ? でもただの寝不足だから」
「寝不足って……そうまでなるほど忙しいっけ?」
「いや、仕事は忙しくはないんだけど……」
「じゃあ、何?」
「うん……」
「ねえ、心配なんだって。どうしたの?」
「うん……」
「何かあった?」
「……」
「彩子?」
「……恵美っ……私、もう苦しいっ……」



 彩子はもう限界だった。

 彩子の心は壊れかけていたのだ。

 恵美の優しい声音に促されて、全部吐き出してしまった。
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