束の間を超えて ~片想いする同僚兼友人に、片想いをした~ 【番外編追加済】

5. ありがたい存在

 翌日、彩子が仕事を終えて帰宅すると、すでに裕哉が家の前で待っていた。

 すぐに鍵を開けて家の中へ入れてやる。彩子の部屋には何度か連れてきているので、特に案内はしなかった。


「姉ちゃん、やっぱ具合悪いでしょ。いつもなら俺の頭撫でまわすのに。今日ずっと大人しい」

 そういえば忘れていたなと思いだす。

 たまにしか顔を合わせないから、会えば構いたくなって、いつも頭を撫でては怒られるのだ。

「あー、はは……でもただの寝不足だから大丈夫」
「大丈夫じゃないって。もう姉ちゃん寝てて。ご飯とか俺がやるから」
「……ありがとう。じゃあちょっと寝てくる」

 ここまできたら取り繕ってもしかたがないので、彩子は素直に甘えることにした。
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