束の間を超えて ~片想いする同僚兼友人に、片想いをした~ 【番外編追加済】

2. 叶わない

 洋輔にはもう長いこと想いを寄せる相手がいた。

 彼女との出会いは大学三年生のとき。洋輔の所属するサークルに新入生の小谷が入ってきたときのことだ。

 小谷はとても純粋で裏表のない、とてもかわいらしい子だった。

 最初はただの先輩として、彼女をかわいがっていた。特別な感情は持っていなかった。

 けれど何をやっても喜んでくれる彼女に、洋輔は次第に想いを募らせていった。彼女の反応も悪くなかったから、両想いかもしれないとも思った。告白だって考えていた。


 しかし、洋輔のその想いはすぐに打ち砕かれてしまった。

 彼女は別の人間の恋人になってしまったのだ。よりにもよって洋輔の親友の青木大隆の恋人に。

 想いあっている二人に割って入ることなど当然できなかった。洋輔の恋は叶わない恋だった。


 就職すれば距離も離れ、苦しむこともなくなっていったが、それはたったの二年で終わりを迎えてしまった。小谷が同じ会社に就職してしまったのだ。

 せっかく忘れられると思ったのに、こんなにも近くにいれば洋輔はその想いを消すことができなかった。

 親友の恋人に懸想する自分が嫌でたまらなくて、少しでも好きになれそうな人から告白されれば迷わずに付きあった。その恋人を好きになろうとしてできる限りの努力もしたが、結局どうやったって小谷への想いは変わらなかった。
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