束の間を超えて ~片想いする同僚兼友人に、片想いをした~ 【番外編追加済】
 このころから洋輔は彩子に向ける感情が特別なものになっていることに気づていていた。

 だが小谷への想いも完全には消えていなくて、彩子との距離をもっと縮めたいのに、それをできないでいた。


 そんな折だった。仕事が忙しくなる洋輔に、彩子が夕飯を作ると提案してくれたのは。

 さすがに毎日来てもらうのは申し訳なくて、結局火曜と木曜だけ来てもらった。

 洋輔のことを想ってくれる彩子に、洋輔の心はかつてないほど満たされていった。彩子と過ごすその時間は、とてつもなく幸せなものだった。このままずっと手放したくないと思った。


(やっぱり俺はもう彩子のことが……?)


 彩子を好きだという感情はどんどん強まっていく。小谷への想いも、もう消えてなくなったんじゃないかと思っていた。


 しかし、それはあの日に打ち砕かれてしまった。
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