束の間を超えて ~片想いする同僚兼友人に、片想いをした~ 【番外編追加済】
第八章 後悔、そしてその先へ

1. 面会

「彩子! ただいま!」
「おかえり! 洋輔!」

 一年ぶりの彩子に溢れんばかりの愛おしさが募ってくる。

 彩子に駆け寄ると空港であることも忘れて思わず抱きしめてしまった。

 自分がこんなふうになるだなんて夢にも思わなかった。



 久しぶりに抱きしめた彩子の身体は、なんだか少し痩せたように感じられた。

「彩子、痩せた?」
「……うん、ちょっとね」
「やっぱり体調悪い? ずっと気になってた」

 ビデオ通話でははっきりとはわからなかったが、あまり調子がよくなさそうに見えていたのだ。

「うん……でも、だいぶよくなったから」
「ごめん、調子よくないのに来させて」
「ううん、私が来たかったから」

 その言葉にどうしようもなく胸が締め付けられた。

「ごめん、家まで送ってあげたいけど、今日はこの荷物だから……」
「気にしないで。大丈夫だから」
「でもやっぱり心配。今日は真っ直ぐ家帰って?」

 本当は荷物を置いてから一緒に過ごそうと思っていたのだが、体調の悪い彩子を連れまわすわけにはいかない。もっと一緒にいたくはあるが、今日はもう帰そうと思った。
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