束の間を超えて ~片想いする同僚兼友人に、片想いをした~ 【番外編追加済】
 廊下を歩き、エレベーターホールまであと数メートルというところで、突如角から台車に乗せられた段ボールの山が現れた。

 そこに運悪く向かい側から歩いていた人がぶつかる。そう派手にぶつかったわけではないが、台車の上に乗せられた段ボールが軽かったようで、中身が散乱してしまった。


 片づけるのを手伝ってやろうと走り寄ってみれば、段ボールを運んでいたのは小谷だった。

「小谷。大丈夫? 手伝うよ」
「ありがとうございます」

 小谷とぶつかった人物と三人で散らばったものを拾う。


 だが半分ほど拾ったところで、洋輔ははたと気づいた。

 この状況はあらぬ誤解を生むのではないかと。見ようによっては小谷に駆け寄ったように見えたのではないかと。

 慌てて彩子のほうを振り返れば、彼女が非常階段に向かう姿が見えた。これはまずいと思った。


「ごめん、俺ちょっと行かないと。じゃあ」

 洋輔は小谷ともう一人にその場を任せて、すぐに彩子を追いかけた。
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