束の間を超えて ~片想いする同僚兼友人に、片想いをした~ 【番外編追加済】
「俺も仕事終わったら、そっち行く。寝てていいから、ドアチェーンはかけないでおいて?」
「……わかった」

 鍵自体は裕哉から預かったものがあるから、チェーンさえかかっていなければ中には入れる。わざわざ彩子が鍵を開けて迎え入れる必要はない。

 気にせず休んでいてくれという意味を込めてそう口にした。



 当初の目的のサンプルは今日じゃなくてもいいということで、さっさと部署まで連れ戻り、彩子をすぐに帰らせた。


 先ほどのことを含め、本当は早く彩子にすべてを話したかったが、彩子の身体のほうが大事だ。

 洋輔は逸る気持ちをグッと堪えた。


 こんなことなら昨日すぐにでも言っておくべきだったと後悔した。

 彩子を苦しめてばかりの自分が情けなかった。
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