束の間を超えて ~片想いする同僚兼友人に、片想いをした~ 【番外編追加済】
「彩子の口ぶりだと、恋人を作らないことを約束した友人、みたいに聞こえたから、ちょうどいいって思った。恋人は作らないで、彩子とずっと友人を続けていけるんなら、それも悪くないなって。だから最初、彩子と恋人っぽいことしようとは思ってなかった」

 そこでまた彩子は頷いた。わかってると言いたいのだろう。

「水族館で手を繋いだのも、ただからかおうとしただけ。でも、そのときの彩子の反応がかわいくて、それがもっと見たくなってしまった」

 彩子は驚きの表情を浮かべている。信じられないとでも言うような顔だ。

「だから許される範囲で近づこうと思った。彩子がどこまで許してくれるかわからなかったから、少しずつ試していった。でも、彩子は一度だって拒絶しなかった。全部受け入れてくれた」

 彩子はその瞳にまた涙を浮かべはじめた。
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