束の間を超えて ~片想いする同僚兼友人に、片想いをした~ 【番外編追加済】
「……じゃあ……突然好きって言ってくれるようになったのはなんで?」

 これもずっと気になっていたことだ。これのせいで拗れてしまったともいえる。

「あー……あれは、大隆に背中を押されたから、かな。少し前に大隆と話してて」
「え?」

 ここで青木の名前が出るとは思わなかった。

「あ、ごめん、実は大隆に付きあってること話した。ちょっと話の流れで……」
「あー、それは別に大丈夫だけど」
「うん……大隆と話したときにさ、思ってること素直に言ったほうがいいって言われて、それで好きって言った」

 思いのほか普通の内容で拍子抜けしてしまった。てっきり小谷が絡んでいるものだとばかり思っていたのだ。

「そっか……じゃあ、小谷さんは関係ないのか……」
「うん?」
「その……実は前の日に、小谷さんが洋輔とリモートで話をしたってのを偶然聞いて、その関連でなのかなって……」
「え!? 違うよ。そもそも小谷とは話して……あー! そういえば、大隆としゃべってるときに、途中ちょっとだけ小谷が入ってきてた。それか。いや、でも小谷は関係ないから」

 彩子は憶測でいらぬ心配をしていたらしい。

「うん、わかった」
「あのときの好きも嘘じゃないよ? 彩子には嘘なんてついてない」
「うん」

 そこはもう疑っていない。それは昨日の告白でわかっている。
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