束の間を超えて ~片想いする同僚兼友人に、片想いをした~ 【番外編追加済】
「他は?」
「うーん……待って。うーん……その……一昨年のクリスマスに小谷さんにプレゼントあげた?」

 小谷の話をしたら思いだしてしまった。あのときの苦い気持ちも蘇ってきて、彩子はタオルの下で顔をしかめた。

「え、いやあげてないけど」
「……かわいいお花のチャームあげなかった?」
「え? ……あげた記憶はないけど……」
「……年明けに、洋輔からもらったって言ってるところ、偶然見ちゃって……」
「えぇ? ごめん、思いだす……どんなやつ?」

 どうやら本当に覚えていないらしい。

「遠くから見ただけだからよくはわかんないけど、桜っぽかった」
「桜……あ、もしかしてお守りじゃない?」
「お守り?」
「ストラップの先に桜のモチーフがついてたかな? ピンクと白だったような気がする」

 確かにそんな感じだった気がする。

「それかも」
「ごめん、それならあげた。実家帰ったときに叔母さんからもらったんだけど、俺が持つにはデザインがちょっと……彩子はお参りとか行かないって言ってたから、お守り渡すのもどうかと思って……ごめん」
「そっか……そう、だったんだ……」

 プレゼントを買ってあげたわけではないとわかって、胸のもやもやが晴れていくような気がした。
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