束の間を超えて ~片想いする同僚兼友人に、片想いをした~ 【番外編追加済】
「ごめん。もう彩子以外に何もあげないから」
「え、いや……うーん……必要なときは構わないよ? でも、そう言ってくれるのは嬉しい、かな。へへっ」
「あー、もう、やっぱり彩子かわいい」

 肩を抱き寄せる手に力が込められたのがわかった。ストレートに伝えてくる洋輔にどんどん心が満たされていく。


 最初から全部素直に受け取っていれば、クリスマスの日も不安に思う必要はなかったのだ。

 しかし、そう思った直後、そもそも疑いをかけたのは別の理由だったと思いだした。


「あれ? でも……洋輔、クリスマス前に女性向けの小物ショップにいたでしょ? いつも映画見にいくとこで。用事があるって言ってた日に」
「ん?」
「クリスマスの前の週だったかな? 洋輔用事あるって言ったから、私も一人で買い物に行ってたんだけど……洋輔がかわいい小物が置かれてる店の前にいるの見つけて……てっきりそこで買ったものをあげたのかと……」
「……ごめん、全然覚えてない……クリスマス前に? 彩子へのクリスマスプレゼントを買いに行ってただけじゃない?」

 そうなのだろうか。だが彩子への贈り物を選ぶにしては随分かわいい雰囲気の店だった。

「でも、かわいらしい雰囲気で私の趣味とは違う店だったし、あの手袋が置かれてそうな感じでもなかった……」
「うーん、わからないけど、彩子へのプレゼント選んでるときはいろんなお店を見てまわってたから、たまたまいただけじゃないかな? ごめん、本当に思いだせなくて……でも、彩子以外にクリスマスプレゼントはあげてないよ?」
「うん……」

 洋輔は本当のことを言っているのだろう。少し釈然とはしないが、本当にたまたまいただけなのかもしれない。
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