束の間を超えて ~片想いする同僚兼友人に、片想いをした~ 【番外編追加済】
 ローテーブルに九十度の位置に座り、二人とも黙々と文字を書いている。


 しばらく集中して書いていたのだが、横から視線を感じて洋輔のほうを見てみれば、洋輔はにこっと微笑んで、手元のノートを彩子に差し出してきた。


『彩子好き』

 真新しいページの一番上に書いてある。彩子はその真下に文字を書き込んだ。

『すぐそういうことする』

 それを確認した洋輔はくすくすと笑ったあとに、また文字を書き込んでノートを渡してきた。

『彩子大好き』

 まだ続けるらしい。しかたがないので、彩子も乗ってやることにした。

『私も大好き』
『彩子、俺のこと好きなんだ』

 もう疑ってはないが、彩子も洋輔も互いの想いを確かめたくて、その言葉を欲しがるときがしばしばある。そんなときはありったけの想いを伝えあうのだ。


『だーいすき』

 洋輔はまたくすくすと笑っている。
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