束の間を超えて ~片想いする同僚兼友人に、片想いをした~ 【番外編追加済】
 遊園地に到着した二人は、園内地図を前に話しあっていた。

「折戸って絶叫系は平気なの?」
「平気だよ? 松藤は?」
「俺も平気。絶叫系行く?」
「いいよ。松藤が好きなら行こ?」
「あー、いや、特別好きってわけではないよ。折戸が好きなのあるならそこ行きたい」

 やはりこの男は優しい。

「じゃあ、この船で遊覧するやつに乗りたいかな」
「いいよ。他は?」
「うーん、待ち時間によるかなー。ぐるっと回りながら、気になったところに入るのはどう?」
「いいね。そうしようか」
「ちゃんと松藤も気になるものあったら教えてよ? メリーゴーラウンド乗りたいって言っても引いたりしないから安心して」
「あはは! わかったよ。そのときは折戸も一緒に乗ってくれるんでしょ?」
「当たり前じゃん。私がエスコートしてあげる」
「え、する側なんだ」
「もちろん」

 結局最初に話していた絶叫系マシンにはほとんど乗らず、比較的ゆったりとしたアトラクションや園内にある庭園を散策して楽しんだ。さすがにメリーゴーラウンドには乗らなかったが、もとよりそれが冗談であることは二人ともわかっていた。
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