束の間を超えて ~片想いする同僚兼友人に、片想いをした~ 【番外編追加済】

6. 知らぬは当人ばかり

「折戸さん、もうすっかり元気になったね。よかった」

 昼前のミーティング終わりに、隣にいた高杉から突然そんなことを言われた。

 上手く隠しているつもりでいたが、高杉にはばれていたようだ。


「え、ご心配おかけしてたんですね。すみません」
「ううん。まあ、原因はわかってたし」
「え?」

 原因を高杉が知るはずはない。思わず彩子は驚きの声を上げた。

「あー、ごめん。あんまりこういうの触れられるの嫌だよね。ごめん」

 高杉は彩子の驚きの声を別の意味で捉えたようだ。

「え、いや、そうではなくて、あの原因っていうのは」
「え、松藤じゃないの?」
「へ?」
「あれ、違った?」

 あっている。あっているが、なぜそれを高杉が知っているのだろう。彩子はひどく混乱した。
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