束の間を超えて ~片想いする同僚兼友人に、片想いをした~ 【番外編追加済】
 入場する直前まで繋がれたままの手にどうなることかと思ったが、さすがに上映中は手を離してくれた。これならば落ち着いて映画を楽しむことができる。

 今日観る映画は前々から楽しみにしていた映画だ。デートとはいえ映画そのものも楽しまなければ損だ。手なんて握られたら映画に集中できなかっただろう。



 館内が暗くなり、予告に続いて本編が始まる。

 派手なアクションが売りのその映画は、人間業を超越したアクションの連続で、最初から最後まで客を飽きさせなかった。

 三時間の超大作だから、初めは途中で疲れてしまうかもしれないとも思っていたが、それは杞憂だった。エンディングまであっという間だった。それは他の客もそうだったのだろう。上映が終わり館内が明るくなれば、皆感想を言いあっているのか館内はざわざわとしていた。


 彩子も今すぐ語りたくてしかたなくて、人の流れに沿って歩きながら、洋輔に話しかけた。

「めっちゃ面白かったね! アクションが現実離れしててさ、それがおかしくてしょうがなかった」
「わかる。俺も同じこと思った。あの距離を人間が飛べるわけないでしょって思って笑い堪えてたよ」
「ね! いやー、期待通りの映画だったな。すでにもうリピートしたい」
「いいね。また一緒に観にいこうよ」
「いくいく!」

 あまりの映画の面白さに二人とも興奮冷めやらぬといった様子だ。

 どこかでもうちょっと語りあいたいという話になり、夕飯には少し早いが近くのレストランに入ることにした。

 そうして映画の感想を言いあっていれば、あっという間に時間が過ぎていく。
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